JST 戦略的創造研究推進事業 CREST

「地域を支える知のデジタライゼーションと共有基盤」

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JST CREST(戦略的創造研究推進事業)
「基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出」領域

概要

本研究では、地域社会の「知」や「データ」をDX化(デジタライゼーション)し、セキュアに共有して活用するための、 Society5.0時代の基盤ソフトウェア「TASK/OS5」を設計開発し、その実現のための情報通信技術を探究します。
特に、個々の地域で得られる「パーソナルデータ」を含むデータやAIモデルを安全に他地域で活用するための方法論を構成し、その安全性を形式的に示します。 また、地域高齢者がシステムに参加しやすい機能の実現を図ります。地域における災害対応および交通改善の実証実験を通じて方法論の有効性を示します。

JST CRESTとは

科学技術イノベーションにつながる卓越した成果を生み出すネットワーク型研究(チーム型)です。
https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/about/index.html

研究領域

[S5基盤ソフト]基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出(研究総括:岡部 寿男(京都大学))
https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunya2021-2.html

構成員

代表:山口弘純
(大阪大学 大学院情報科学研究科 教授)

専門分野:

IoT/サイバーフィジカルシステム(人の位置行動センシング、無線通信と最適化、高度交通システム、ストリームプロセシング、分散AI、空間コンピューティングなど)

ホームページ:

グループメンバー:

岸本 充生 : 大阪大学 データビリティフロンティア機構 教授
内山 彰 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授
廣森 聡仁 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授(兼任)
髙井 峰生 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 招へい准教授
水本 旭洋 : 千葉工業大学 情報科学部 准教授
天野 辰哉 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 助教
吉川 寛樹 : 京都橘大学 工学部 助教
Rizk Hamada : 大阪大学 大学院情報科学研究科 特任准教授
Erdélyi Viktor : 大阪大学 大学院情報科学研究科 特任助教
Kala Manas : 大阪大学 大学院情報科学研究科 特任助教
工藤 誠 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 特任研究員
石﨑 雅大 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 博士課程
右京 莉規 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 博士課程
田中 福治 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 博士課程
小関 廉 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 修士課程
米倉 晴紀 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 修士課程

矢内 直人
(大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授)

専門分野:

情報セキュリティ/暗号技術/電子署名/暗号/BGP/ルーティングプロトコル/ルーティングセキュリティ/IoT/ネットワーク/インターネットセキュリティ

ホームページ:

グループメンバー:

小島 英春 : 大阪工業大学 情報科学部 准教授
岡村 真吾 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 招へい准教授
山下 恭佑 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 助教
小宮 千佳 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 修士課程
手島 宏貴 : 大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 修士課程
加道 ちひろ : 大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 修士課程

稲場 圭信
(大阪大学・大学院人間科学研究科 教授)

専門分野:

共生学/利他主義/防災・災害時協力/避難所情報/地域資源(寺社等宗教施設)と科学技術による減災/市民社会論/ソーシャル・キャピタルとしての宗教/宗教の社会貢献

ホームページ:

グループメンバー:

川端 亮 : 大阪大学・大学院人間科学研究科 教授
王 文潔 : 大阪大学・大学院人間科学研究科 助教
小島 誠一郎 : 一般社団法人地域情報共創センター 代表理事
峯 英一郎 : 一般社団法人地域情報共創センター 副理事長
寺本 弘伸 : 特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク 常務理事
沈 一擎 : 大阪大学 大学院人間科学研究科 研究員
CHEN Ziyun : 大阪大学 大学院人間科学研究科 博士課程
ZHAO Mengying : 大阪大学 大学院人間科学研究科 博士課程

新井 圭太
(近畿大学 経済学部 准教授)

専門分野:

地域経済分析/スピルオーバー効果測定/離島地域の交通政策評価/幸福度調査/生産性効果とスピルオーバー/社会資本整備/振興開発計画評価 など

ホームページ:

グループメンバー:

松田 直樹 : EXA Innovation Studio IT Director
Kristian Tosa : Technical University of Cluj Napoca 講師
Elodie Castex : Université de Lille 教授

千原 徹
(讀賣テレビ放送株式会社 DX推進局 ICT開発部長)

ワークパッケージ:

デジタルテレビ活用

ホームページ:

グループメンバー:

矢野 健太郎 : :讀賣テレビ放送株式会社 報道局 デジタル報道部 チーフ・ エキスパート
松田 裕貴 : 讀賣テレビ放送株式会社 コンテンツ戦略局 データマネージメント部

研究内容

「スマートシティ」は当初、都市環境の充実や新しい未来都市の構築などを想定していましたが、 Society5.0やスーパーシティ構想が掲げるスマートシティは基本的に地域社会を活性化し連携させるコンセプトです。 スマートシティ官民連携プラットフォームでは、地域間連携の望ましい形態や都市間でのデータ利活用の必要性が謳われており、 それを実現する都市OS(データ連携基盤)の導入が重点推進課題となっています。 都市OSは、地域や自治体、民間が有する各種センサやカメラ、行政データなどを集約し、サービスやデータ間連携を図ることで、 防災、安全安心、交通などの多様なアプリケーションを実現する基盤であり、FIWAREや大阪広域データ連携基盤(ORDEN)などが注目を集めています。
 
現状の都市OSは、エネルギーや交通、医療、金融、通信、教育などの分野で自治体や企業、研究機関などが連携することを念頭に、 膨大なデータを集積しやすくすることで、それらをAIで分析・活用するアプリケーションの構築を支援する基盤です。 したがって、都市OSの普及にともない、大量に収集されたデータからAIが多く生み出されることになります。
スマートシティの理念に基づけば、そういった人工知は地域を超えて利活用されるべきであり、 遠くない未来においては自治体や地域が人工知を持ち寄り、新しい社会を共創する在り方が望まれています。
 
ここで重要な課題となるのがプライバシ・セキュリティです。 例えば地域交通を最適化する機械学習モデルの訓練データは、居住地や移動履歴などのパーソナルデータを含むため、単純にデータセットとして共有できません。 機械学習モデルはデータセットに対する問合せ器であり、パーソナルデータの出力に関する安全性を保証する必要があります。
 
本研究では、地域社会の知をデジタライゼーションし、セキュアに共有するためのS5基盤ソフトウェア TASK/OS5(Transformation, Adaptation and Sharing of Knowledge for Open Society5.0)を開発します。 個々の地域で得られる「地域依存」のデータや機械学習モデルを安全化したデータや機械学習モデルに転移してから共有します。 個人特定につながるリスクのある地域依存のモデルやデータが安全化したものからは得られないことを数論を通じて形式的に示すことで、 パーソナルデータを含むデータやモデルを活用する方法論を構成します。

研究業績

2023 年度

査読付き論文誌
1) Hiromasa Kitai, Naoto Yanai, Kazuki Iwahana, Masataka Tatsumi, Jason Paul Cruz, A Study on Quantized Parameters for Protection of a Model and Its Inference Input. J. Inf. Process. 31: 667-678 (2023)
2) Kyosuke Yamashita, Keisuke Hara, Yohei Watanabe, Naoto Yanai, Junji Shikata, “Designated Verifier Signature with Claimability,” IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (to appear)
3) Akira Uchiyama, Akihito Hiromori, Ryota Akikawa, Hirozumi Yamaguchi, Teruo Higashino, Masaki Suzuki, Yasuhiko Hiehata, Takeshi Kitahara, "Risky Traffic Situation Detection and Classification Using Smartphones", IEEE Open Journal of Intelligent Transportation Systems
査読付き国際会議
1) Janaka Senanayake, Sampath Rajapaksha, Naoto Yanai, Chika Komiya, and Harsha Kumara Kalutarage, "MADONNA: Browser-Based MAlicious Domain Detection through Optimized Neural Network with Feature Analysis," the 38th International Conference on ICT Systems Security and Privacy Protection (IFIP SEC 2023), Springer (2023-06). (To appear.)
2) Chika Komiya, Naoto Yanai, Kyosuke Yamashita, Shingo Okamura, JABBERWOCK: A Tool for WebAssembly Dataset Generation towards Malicious Website Detection. DSN-W 2023: 36-39
3) Tomoya Matsumoto, Takayuki Miura, Naoto Yanai, "Membership Inference Attacks against Diffusion Models" SP (Workshops) 2023: 77-83
4) Yumeki Goto, Tomoya Matsumoto, Hamada Rizk, Naoto Yanai, Hirozumi Yamaguchi, "Privacy-Preserving Taxi-Demand Prediction Using Federated Learning" SMARTCOMP 2023: 297-302
5) Ren Ozeki, Haruki Yonekura, Hamada Rizk, Hirozumi Yamaguchi, "Balancing Privacy and Utility of Spatio-Temporal Data for Taxi-Demand Prediction," The 24th IEEE International Conference on Mobile Data Management, IEEE MDM 2023
6) Haruki Yonekura, Ren Ozeki, Hamada Rizk, Hirozumi Yamaguchi, "DEMO: STM - A Privacy-Enhanced Solution for Spatio-Temporal Trajectory Management", The 24th IEEE International Conference on Mobile Data Management, IEEE MDM 2023
7) Kazuki Iwahana, Naoto Yanai, Toru Fujiwara, "Backdoor Attacks Leveraging Latent Representation in Competitive Learning," Proc. of the 1st Workshop on Security and Artificial Intelligence (SECAI 2023) (2023-09). (To appear.)
8) Masahiro Kamimura, Kyosuke Yamashita, Naoto Yanai, "Generic Construction of Key-Aggregate Searchable Encryption," GeoPrivacy 2023, ACM (2023-10). (To appear.)
9) Ren Ozeki, Haruki Yonekura, Aidana Baimbetova, Hamada Rizk, Hirozumi Yamaguchi, "POSTER: One Model Fits All: Cross-Region Taxi-Demand Forecasting," The 31st ACM SIGSPATIAL International Conference on Advances in Geographic Information Systems (ACM SIGSPATIAL 2023)
招待講演
1) Chihiro Kado, Naoto Yanai, Jason Paul Cruz, Shingo Okamura, "[招待講演]An Empirical Study of Impact of Solidity Compiler Updates on Vulnerabilities (from BRAIN 2023)" IEICE Technical Report, ISEC2023-11, 信学技報, vol. 123, no. 26, ISEC2023-11, pp. 62-64 (2023-05).
2) 矢内直人, "Ethereum スマートコントラクトのセキュリティ研究," 2023年度第1回光輝会ジョイントフォーラム (2023-05).
3) Naoto Yanai, "Security Research Using Blockchain and for Blockchain," French-Japanese Workshop on Blockchain technologies and application to digital trust (2023-11).
4) 矢内直人, "AIセキュリティのこれまでとこれから," コンピュータセキュリティシンポジウム 2023 (2023-10).
国内研究会
1) 小宮 千佳, 矢内 直人, 山下 恭佑, 岡村 真吾, "悪性サイト検知のためのWebAssemblyデータセット構築ツールの設計とその精度評価," 第101回コンピュータセキュリティ研究会(CSEC), Vol.2023-CSEC-101, No.29, pp.1-8 (2023-05). CSEC優秀研究賞 (2023-06).
2) 松本 知優, 三浦 尭之, 矢内 直人, "拡散モデルのメンバーシップ推論耐性の評価," マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム 2023(DICOMO 2023), 6F-1, pp. 1030--1037, 優秀プレゼンテーション賞 (2023-07). DICOMO2023優秀論文賞 (2024-09).
3) 加道 ちひろ, 矢内 直人, 山下 恭佑, ジェイソン・ポール クルーズ, 岡村 真吾, "Solidityコンパイラ更新による脆弱性への影響調査," 第22回情報科学技術フォーラム(FIT2023), 第4分冊, L-015, pp.171-172 (2023-09). FIT奨励賞.
4) 米倉晴紀,田中福治,水本旭洋,山口弘純, "スマートホームシミュレータにおける大規模言語モデルを用いた生活行動の自動生成に関する検討",第109回モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL)
受賞
1) 加道ちひろ, 矢内 直人, 山下 恭佑, JasonPaul Cruz, 岡村 真吾, FITヤングリサーチャー賞, Solidityコンパイラ更新による脆弱性への影響調査, 情報処理学会
2) 武内 祐哉, 矢内 直人, 森川 郁也, 2023年11月CSS学生論文賞, モデル抽出攻撃の新たな評価指標に向けた決定境界の可視化, コンピュータセキュリティシンポジウム2023
3) 加道ちひろ, 矢内 直人, 山下 恭佑, JasonPaul Cruz, 岡村 真吾, 2023年9月FIT奨励賞, Solidityコンパイラ更新による脆弱性への影響調査, 情報処理学会
4) 松本 知優, 三浦 尭之, 矢内 直人, 2023年9月DICOMO優秀論文賞, 拡散モデルのメンバーシップ推論耐性の評価, マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム
5) 矢内直人, 2023年7月DICOMO2023 ベストカンバーサント賞, 情報処理学会
6) 小宮 千佳, 矢内 直人, 山下 恭佑, 岡村 真吾, 2023年6月CSEC 優秀研究賞, 悪性サイト検知のためのWebAssemblyデータセット構築ツールの設計とその精度評価, コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会
7) Ren Ozeki, Haruki Yonekura, Aidana Baimbetova, Hamada Rizk, Hirozumi Yamaguchi, "One Model Fits All: Cross-Region Taxi-Demand Forecasting," The 31st ACM SIGSPATIAL International Conference on Advances in Geographic Information Systems (ACM SIGSPATIAL 2023), Best Poster Award
解説
1) 矢内直人, "5分で分かる!? 有名論文ナナメ読み「Martin Abadi, Andy Chu, Ian Goodfellow, H. Brendan McMahan, Ilya Mironov, Kunal Talwar and Li Zhang : Deep Learning with Differential Privacy」," 情報処理 学会誌, 2023年9月号, 情報処理学会 (2023-08).
書籍
1) 矢内直人, 加道ちひろ, 岡村真吾, "ブロックチェーンの基礎からわかるスマートコントラクトのセキュリティ入門," エンジニア入門シリーズ, 科学技術情報出版 (2023-08).